2017-06-30

ガーデンメンテナンスを劇的に簡単にする方法【その1】  
 ~先手必勝!先行投資の大切さ~ 
   

 ブログのタイトルは「〇〇の方法」とするのが注目されやすいとどこかで聞いたので、そうしてみました。

 でもこう書くと、何となく昔流行った「プロ野球を10倍楽しく見る方法(→かなり古いですが)」を思い出すのは私だけでしょうか!?

 

 ここでは、「ガーデンメンテナンスを10倍簡単にする・・」まではいかないかもしれませんが、メンテナンスを考える上で、とても大事なことを最初にお伝えしたいと思います。

 

 これから何回かに分けて、メンテナンスの問題について綴っていきたいと思います。


◆みどりのメンテナンスの問題は、存在意義に関わること

「管理が大変なので、植物は植えたくない-」

 

 こういったことは、これまで幾度となく聞いてきました。あえてここで賛否には触れませんが、一つ言えるのは、みどりのメンテナンスはそれだけ大きな問題で、存在意義にまで関わる重要なテーマということです。

 

 もし同じ場所で似たようなガーデン工事を行ったとして、

 

①工事費は50万円で済んだが、メンテナンスにとても手間のかかるガーデン

②工事費は100万円かかったが、メンテナンスにほとんど手間がかからないガーデン

 

 この二つがあったら、皆さんはどちらを選びますか?

 

 工事費は安かったけど、地際の処理が不十分で雑草が瞬く間に伸びてくるガーデンだったら、どんなに庭いじりが好きな人でもやがて放置してしまい、お金をかけてガーデンをつくったことを後悔するでしょう。

 逆に、100万円の工事費がかかって「ちょっと高くついたなぁ」と思ったとしても、グランドカバー等でちゃんと雑草対策がされているガーデンであれば、お客様はそれなりには満足すると思います。

  答えは言うまでもないと思います。

◆みどりのメンテナンスの問題の本質とは?

 私は以前、園地の管理をしていた時に、大変な苦労をした経験があります。

 

 ベンチの置いてあるちょっとした園地だったのですが、芝生が衰退して裸地化してしまっていて、毎年夏場になると1m位の雑草が繁茂し、草を刈ってもすぐに伸びてキリがないような状況でした。

 毎年夏が近づいてくると、「雑草が伸びてきてないか」と注意を払わなければならず、草が伸びてくれば「草刈の作業日をいつにするか」と考えなければならない。作業日までの間は、雑草が伸び放題の園地を見て、「早く草を刈らないとなぁ」と気がかりな日々が続き、草を刈ってもまたすぐに伸びてくる・・・まさにこの繰り返しでした。

 

 ある時、ヒメイワダレソウによるグランドカバーを施すことになり、園地は見違える程きれいに生まれ変わりました。雑草もほとんど出なくなり、これまでの悩みはウソのように消え、「今までのあの苦労は一体何だったんだろう」と思い返したものでした。

 

 このようにガーデンやみどりのメンテナンスでは、コストや作業の負荷だけではなく、植物が日々成長するがゆえの目に見えない苦労がたくさんあります。ここが構造物等のメンテナンスと決定的に違うところです

◆みどりのメンテナンスは、トータルコストでは語れない

 もう一つ、大事なことをお伝えしたいと思います。

 

 新しいものを作る時の判断基準として、LCC(ライフサイクルコスト)という考え方があると思います。イニシャルコストとランニングコストの双方を評価し、トータルで最も経済的な方法を選択する考え方です。

 

 先の例の場合、ヒメイワダレソウの植栽工事にかかった費用は40万円位でしょうか?

仮に、草刈に3万円/回かかっていたとして、年4回草を刈るなら12万円/年。 40万 ÷12万=3.333‥ 

計算上は3年4か月でペイすることになります。でも、そういう問題ではないと思います。

 

 仮に机上の試算草刈の方が安かったとしても、何年も続けているうちにいつか必ず管理は疎かになります。そうして園地が荒れ果てた時、誰もが「もういらない」と考えるようになるのです。

 最初に書いたとおり、みどりのメンテナンスは存在意義にまで関わる大きな問題です。早く問題を解消することが、この園地を存続させるために必要なことです

 

 つまり、多少お金をかけてでもメンテナンスしやすい状態を保つことを最優先に考える・・これがみどりを末永く維持するポイントだと、私は考えています。

◆ガーデンメンテナンスを簡単にしたいのなら、先行投資をすべき!

 では、メンテナンスを簡単にするのに何をすればよいのかですが、先行投資をしてメンテナンスが簡単なガーデンをつくってしまうのが、一番間違いのない方策だと思います。

 

 みどりのメンテナンスは、最初の植え方次第でいかようにもなります。これについては追々触れたいと思いますが、後々のメンテナンスを考えて設計することがとても大事なのです。

 

 ですので、これから新しくガーデンを作られる方には、ぜひこういった観点でプランをみて欲しいです。

 設計者からのプレゼンを受けた時、「提案されたプランに対して、デザイナーは後々のメンテナンスについてどんなビジョンを持っているのか」をよく確認してみて下さい。さらにこの時に、多少お金を多くかけてでもメンテナンスを簡単にすることができないかも考えて欲しいです。

 

 また、既にガーデンをお持ちの方は、もし何かメンテナンスで不具合を感じているのであれば、積極的に投資をして改善することを考えてみて下さい。

 例えば、毎年同じ場所から雑草が発生して困っている、毎年同じ木の枝が伸びてくる、害虫が発生する… こういったことをちょっとしたガーデンリフォームで解消するだけで、そのガーデンの価値は今までよりもずっと高いものになります。

 

 こういったことが大事だなぁと、常日頃思っているところです。


 当オフィスでは、このような観点でガーデンづくりを考えています。メンテナンスが劇的に簡単なガーデンをつくりたいと思われたら、ぜひご相談下さい。色々なご提案ができると思います。